すい臓がんに新しい併用療法

すい臓がん治療に新しい抗がん剤治療法が開発されている。

抗がん剤のアブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用で、 生存期間が延びることが確認されたのだ。 アブラキサンは、抗がん剤「パクリタキセル」をヒトアルブミンと結合させた懸濁注射剤だ。

スイスの製薬会社セルジーンが、未治療の進行性すい臓がん患者を対象とした治験を実施し、 アブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用治療で第3相臨床試験の結果、 全生存期間が有意に改善したのだ。 さらに、この2つの抗がん剤を併用する新治療法の安全性は、 アブラキサンの単独療法の臨床試験と同等だったとされる。

すい臓がん抗がん剤は種類が少ないため、新治療法に期待が高まっている。


前立腺がんを抑制する抗がん剤新薬

前立腺がん治療用の抗がん剤新薬「ゴナックス 皮下注用」が新発売された。

新薬ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)は、前立腺がん患者のがん増殖を促進してしまう男性ホルモンのテストステロンの発生を抑えることで、 前立腺がんの増殖を抑制する効果がある。

海外では既に62か国で承認されている皮下注射される抗がん剤だ。 日本では2012年6月29日に承認取得し、同年8月28日に薬価基準に収載された。

アステラス製薬から、2012年10月23日(火)に販売が開始される。


肺がん転移を抑制する新治療法

心不全の治療に用いられているホルモン製剤に、 がん細胞の転移を抑制する働きが発見された。

がんは心臓へ転移し難いことから、心臓に特有なANPというホルモンに着目した研究が実施された。 そして、 2009年から552人の非小細胞肺がんの患者のデータを調べたのだ。

調査結果では、 心不全治療などでホルモン剤を使用しつつ がん手術した肺がん患者の2年後の再発率は4.5%であるのに対して、 ホルモン剤を使わなかった人は19.2%と再発率が有意に高かったのだ。 しかも、がんの進行度には関係なく再発率に大きな差がでた。

その後、人間のがん細胞を移植したマウス実験においても、 ホルモン剤によるがん抑制効果は検証された。 がん細胞を移植されたマウスの血管転移のがん細胞数は、 肺腺がんで約5分の1、肺の大細胞がん・大腸がん乳がんでは約3分の1と減少したのだ。

そして、ホルモン剤によって血管の内壁を守られ、 がん細胞が漏れ難くなっている仕組みが解明された。

ホルモン剤が肺がんの再発を減らす効果が実証されたことから、 他のがん治療に対しても転移予防薬となる可能性が高まり、 さらなる研究に期待が膨らんでいる。

ホルモン剤によるがん転移抑制効果は、 国立循環器病研究センターと大阪大の共同研究チームが発見した。


大腸がん治療に市販鎮痛剤

鎮痛剤のアスピリンが、大腸がんの死亡率低減に効果的と判った。

アスピリンががん治療に有効とされたのは、 特定の遺伝子に変異がある大腸がん患者に対しての治療効果だ。 大腸がんと診断された964人の経過を細胞を分析と合わせて追跡調査した結果に判明した。

大腸がん患者のうち「PIK3CA」というがん細胞の増殖に関与する遺伝子に変異があった161人と、 遺伝子変異のない803人について、アスピリンを飲むかどうかで予後の違いを比較したのだ。

PIK3CA遺伝子変異があった患者群では、 アスピリンを飲む習慣がなかった95人のうち大腸がんが原因で26人が死亡した。 一方、アスピリンを週に複数回飲んでいた66人では、大腸がんが死因だったのは3人だけだったのだ。 この調査結果から有意にアスピリンの有効性が示されている。

米ハーバード大の研究報告が、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。


肺がん新治療法をカーボンナノチューブで

 炭素でできた新素材「カーボンナノチューブ」によるがんの新治療方法が開発された。

「カーボンナノチューブ」は炭素原子が直径数ナノメートル(ナノは10億分の1)に六角形に結合した円筒形物質。鋼鉄より硬く、弾力性があり、電気や熱を通す性質がある。

がんの新治療法は、カーボンナノチューブへ近赤外線を照射することで活性酸素を発生させ、活性酸素によって治療部位のがん細胞を死滅させる。

京都大の研究グループが実験に成功した。

カーボンナノチューブに対して、光を照射すると熱や活性酸素が発生することは既知だった。今回の新治療法では、人体への影響が少なく透過性が高い赤 外線「近赤外線」を利用する。カーボンナノチューブの「半導体性」と呼ばれる性質を持った部分だけが近赤外線を吸収して活性酸素を発生するのだ。

ヒトの肺がん細胞とカーボンナノチューブを混ぜて近赤外線を10分間照射した実験では、熱による影響も含めて45%ものがん細胞が死滅した。

微量のカーボンナノチューブを血管から注入して、患部に近赤外線を照射する新治療法が検討されている。


がん予防にマルチビタミンが有効

マルチビタミンを毎日飲むとがんリスクが減ることが判った。

1万5000人の男性被験者を対象とした長期の臨床試験(治験)は、 ビタミンのサプリメントのがん予防効果が確認された初めての大規模治験となった。

平均11.2年間を追跡調査されたマルチビタミンのサプリメントを服用した男性被験者群は プラセボ(偽薬)投与群と比較して、がんの発病率が8%も減少したのだ。

ただし、このリスク減少に多大な期待は禁物で、 主流のがん予防が、禁煙、抗肥満、健康的な食事、継続的な運動であることには間違いない。 マルチビタミンを摂っていても喫煙を続ければ、がんリスクは高いということだ。

国立衛生研究所(NIH)が資金提供して製薬最大手ファイザーが実施したこの大規模治験の結果は、 米国がん研究会議(AACR)で発表され、米医学学会誌(JAMA)に掲載された。


肺がん新薬が効かなくなる原因を解明

肺がん新薬ザーコリが効きにくくなる仕組みを、 金大附属病院がん高度先進治療センターが解明した。 この肺がん新薬ザーコリはがんを小さくする高い効果があるが、 治療開始から1年前後で効かなくなる問題があった 。 しかし、既存の抗がん剤を併用することで効能を維持できる可能性が発見されたことで、 再発を防ぐ治療法の開発に向けた一歩となりそうだ。

研究されているのは、 国内で2012年5月末に販売が始まった治療薬「ザーコリ」(一般名クリゾチニブ)。 体内のがん細胞に関連した特定の分子だけを攻撃する「分子標的薬」の一種で、 がんを増殖させる未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の働きを阻害する”肺がん特効薬”だ。 この遺伝子を持つ肺がん患者には、非常に高い治療効果が現れることが分かっている。

今回の研究では、ザーコリの効果が落ちる原因として、 ザーコリによってALK融合遺伝子の働きを止めた後も、 がん増殖に関わる「上皮成長因子受容体(EGFR)」に正常細胞から分泌される特定の物質が結合することで、 がん細胞が生き延びてしまうことを解明したのだ。

試験管内やマウス実験では、新薬ザーコリの効能が薄れても、 肺がんの分子標的治療薬「エルロチニブ」や、 大腸がん治療に使われる「セツキシマブ」を併用すると、がんが縮小することも確認された。

日本人のがん死亡原因の1位である肺がんは、年間約7万人が亡くなる。 肺がんに悩むがん患者に、ザーコリの効能を継続させるさらなる研究が期待される。


前立腺がんの原因に焼肉?

50代後半の男性にリスクが高まってくる前立腺がん。 診断・治療法が進化したことで、死亡率は減少傾向だ。 前立腺がんは、進行が非常に遅いタイプが多いため、直接的な死因になる人はごく一部だけだ。 しかし、がん発症リスクを減らことは、男性共通の課題と言える。

多くの癌と同様に前立腺がんのリスクも食生活に密接に関連している。 タンパク質は動物性ではなく、豆腐などの植物性が望ましく、肉よりも魚での摂取が望ましい。

米国南カリフォルニア大学の研究報告では、 高温で焼き上げた肉の摂取は、明白に前立腺がんリスクを上昇させるとのことだ。

こ の調査は、対象者が1096人。うち、早期前立腺がん患者717人、進行前立腺がん患者1140人で比較した結果、 豚肉や牛肉などの肉を週に1.5回以上フライパンで焼いて食べる男性の 進行前立腺がんのリスクは、30%も高かったのだ。 また、フライパンではなく直火焼きなど高温調理による赤身肉を週に2.5回以上食べると、 前立腺がんリスクは更に高く、40%まで上昇する。

一方、同じグループで調べられた鶏肉のがんリスクについては、 フライパン調理では同じくリスクが上昇したが、直火焼きでは逆にリスクの低下傾向が発見された。

このがんリスクの原因は、高温調理でタンパク質から発生する「HCAs」と、 脂身のコゲ部分や調理の煙に含まれる「PAHs」という強力な発がん物質に起因していることが判っている。

つまり、鶏肉の発がんリスクが少なかったのは、比較的に低脂肪であるためにPAHsの発生が少なかったと推論された。 しかし、フライパンでの調理ががんリスクを上昇させる理由はまだ解明されていない。 いずれにせよ、焼き過ぎた肉は量を控えるべきであることは明白ちなった。

日本人の前立腺がん罹患率が米国の10分の1以下と低いのは、 日本の伝統食文化が焼き物に偏らず、食品と調理方法が多様であることが大きいのだ。


転移胃がんの抗がん剤新薬

転移性胃がんの抗がん剤新薬が治験で良好な結果を収めた。

米製薬大手のイーライリリーが開発中の抗がん剤ラムシルマブが、 転移性胃がんの第3相臨床試験で良好な結果を示したのだ。

この抗癌剤新薬の治験では胃がん・胃食道接合部がん患者を対象として、 第2選択薬として新薬ラムシルマブと最善の支持療法(BSC)を行った患者群をプラセボ(偽薬)とBSCの患者群と比較した。

その結果、新薬ラムシルマブは全生存期間(OS)の改善という主要評価項目を達成し、 無増悪生存期間(PFS)を延長する良好な結果を得た。 これは新薬ラムシルマブの第3相試験としては、初めてのデータだった。

世界保健機関WHOによると、 胃がんは世界で4位のがんで、 新規に胃がんと診断される患者数は年間98万960人。 そのうち、73万8000人が胃がんで死亡する。


身長とがんリスクの関連性

身長が5センチ高くなるごとに卵巣がんリスクが7%上昇することが判った。

英国オックスフォード大学が 世界中の研究データを解析した結果、 身長やBMI(肥満指数)の高い女性ほど卵巣がんリスクが高まると指摘したのだ。

身長が5センチ高くなるごとに卵巣がんリスクが7%、BMIが5上がるごとに10%上昇したが、BMIはホルモン補充療法(更年期障害の治療法) を行うと関連が認められなくなったという。

女性の身長やBMIが卵巣がんの発症率に関連していることは、 これまでの研究結果でも示唆されていた。 しかし、一貫した結果成果は無かった。

オックスフォード大学では、 卵巣がんに関する47の研究患者データに含まれている 卵巣がん患者2万5,000人超、卵巣がん患者でない女性8万人超を解析した。 このデータは世界中のほぼ全て国や民族を網羅していた。

データ解析の結果、160cm未満(平均154.8cm)を基準として、 身長が5cm高くなるごとに卵巣がんリスクが7%上昇することが判明したのだ。

例えば、身長155センチの女性と比べ、165センチの女性では卵巣がんリスクが14%高いのだ。 この関連性は、 閉経した女性がホルモン補充療法を行っていても同様だった。

一方、BMIと卵巣がんの関連性も指摘された。 BMIは体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったものだ。 身長160センチ、体重55キロの人のBMIは21.5だ。

BMIは25未満を基準として、閉経後にホルモン補充療法を受けたことのない女性ではBMIが 5増えるごとに卵巣がんリスクが10%上昇した。 こちらの関連性も、ホルモン補充療法との関連性は無かった。

身長と卵巣がんリスクが関連しているという結果は、 卵巣がん発生の仕組みを解明し、治療法を開発する上で重要なのだ。

研究成果は米医学誌「PLoS Medicine」へ発表された。



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